相続による共有名義の発生と問題点

親が亡くなり、残された不動産を兄弟姉妹で相続する際、遺産分割協議が整わない、あるいは話し合いもせずにそのままにしてしまうと、相続人全員の「共有名義」になります。例えば、兄・弟・妹の3人が3分の1ずつ共有するといった状態です。

共有名義になること自体は法的に問題ありませんが、実務的には様々な不都合が生じます。不動産は物理的に分割できないため、誰か一人が「売りたい」「貸したい」「リフォームしたい」と思っても、他の共有者の同意を得なければ動けないケースがほとんどです。意見が一致しない限り身動きが取れない「共有の罠」に陥りやすいのです。

さらに、共有者の1人が死亡すると、その持分はまた新たな相続人に引き継がれます。世代を重ねるごとに共有者が増え続け、数十人の共有者がいる不動産も珍しくありません。このような状態では、いよいよ全員の合意形成は現実的に不可能に近くなります。

共有名義の典型的なトラブル
  • 兄は売却したいが、弟は賃貸に出したいと主張して話し合いが進まない
  • 実家を継いでいる妹は売りたくないが、他の兄弟は現金化したい
  • 共有者の一人が高齢で判断能力が低下し、意思確認できない
  • 共有者の一人が多額の借金を抱えており、債権者が持分を差し押さえる恐れがある

共有者全員の同意が必要な行為・単独でできる行為

民法では、共有不動産に対してどのような行為ができるかを、必要な同意の範囲によって分類しています。

単独でできる行為(保存行為)
  • 不法占拠者への明渡し請求
  • 建物の現状維持のための修繕
  • 自己の持分の登記申請
  • 自己の持分の売却・担保設定
全員の同意が必要な行為(変更行為)
  • 不動産全体の売却
  • 大規模な増改築・リフォーム
  • 不動産の用途を変更する行為
  • 賃貸借契約の締結(長期)

2023年の民法改正(2023年4月施行)により、管理行為(賃貸借契約の締結等)は持分の過半数で決定できるようになりました。ただし、売却のような「変更行為」は依然として全員の同意が必要です。

共有物分割請求(裁判所手続き)

共有者間で話し合いがまとまらない場合、最終的には裁判所に「共有物分割請求」を申し立てることができます。これは、共有状態を強制的に解消するための法的手続きです。

共有物分割の方法

裁判所の手続きは時間がかかり(数ヶ月〜1年以上)、費用もかさみます。また、競売になると市場価格の60〜70%程度の価格になることが多く、全員にとって損失が大きくなります。可能な限り当事者間の話し合いで解決するか、専門業者を介した解決策を選ぶ方が賢明です。

相続人の1人が行方不明の場合

共有者の1人と連絡が取れない、住所が分からないという事態もよく起こります。このような場合に利用できる法的手段があります。

不在者財産管理人の選任

行方不明者(不在者)の財産を管理するために、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申立てることができます。選任された管理人(通常は弁護士や司法書士)が、行方不明者の代わりに遺産分割協議や不動産売却の手続きに参加します。ただし、裁判所の許可が必要な行為もあり、手続きに数ヶ月を要します。

所在等不明共有者の持分取得・譲渡制度(2023年改正)

2023年の民法改正で、所在等が不明の共有者がいる場合に、裁判所の決定を経て、その共有者の持分を他の共有者が取得したり、不動産全体を売却したりすることが可能になりました。これにより、行方不明の共有者がいても、より迅速に共有関係を解消できるようになっています。

持分のみ売却するデメリット

「自分の持分だけなら他の共有者の同意なしで売れる」というのは正しいです。しかし、持分だけの売却には重大なデメリットがあります。

持分のみの売却は最終手段であり、可能な限り共有者全員での売却を目指すべきです。

専門会社への共有持分一括買取という解決策

テキカク不動産では、共有持分の問題を専門的に扱い、状況に応じた最適な解決策を提案します。最も望ましいのは、共有者全員の合意を取り付けた上で、不動産全体を一括で買い取ることです。

全員同意での買取のメリット

話し合いの仲介サポート

テキカク不動産では、共有者間の合意形成のサポートも行っています。代表が公認会計士であるため、税務上の有利不利を数字で示しながら、感情的になりがちな相続人間の話し合いをサポートします。「早期売却でこれだけ手取りが増える」という具体的な数字が、議論を前進させることが多いのです。共有不動産でお困りの方は、まずはお気軽に TEL 03-6766-6178 またはLINEでご相談ください。

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